Kzy Shibata
(更新)
Table of Contents
2019年10月より日本の消費税は10%となる予定ですが、10%という消費税を高いと感じている人は多いのではないでしょうか。
しかし、世界中には、日本の10%が安く思えるくらい消費税が高い国はたくさんあり、イギリスもその国の1つ。
今回はイギリスの税金の中でも、特に旅行者や留学生に関わってくる消費税と住民税について解説します。日本を出発する前に現地の税金事情をおさえておくと安心ですよ。
日本のお店で商品を購入したり、食事をしたりすると消費税が発生します。もちろん、イギリスにも消費税があります。
イギリスの消費税は正式には「VAT(Value-Added Tax)」といい、付加価値税とも呼ばれています。名前こそ異なりますが、日本でいう消費税と考えてもらって問題ありません。
このVATの税率は20%と、日本を大きく上回る値となっています。以前は17.5%でしたが、2011年に20%に引き上げられました。増税は日本だけで起こっているものではないのです。
20%という数値を見ると、かなり高い税率のように感じますが、すべての商品に一律で20%が課税されるわけではありません。
VATの税率は以下の4つに分かれています。
0%と免税は、手続き上の違いであって、消費者にとっては変わりありません。
この税率は、購入する商品によって変わるという特徴を持っています。
では、どの商品の税率が低くて、どの商品の税率が高くなるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。
VATは、生活に欠かすことができない商品ほど税率が安くなります。
各商品の税率は以下のとおり。
上の表を見てもわかるように、食料のような生活必需品には税金がかかりません。そのため、現地で生活していても、普段購入する商品にはVATがかかっていないことが多いのです。一方で、お菓子やアルコールなど嗜好品になると税率は高くなります。
ただ、お店で表示されている価格は全て税込なので、商品の違いによる税率の違いを感じることはあまりないでしょう。
税率が高い外食が多いと出費がかさみますが、自炊であれば食料品は税率0%。留学生で節約したいということであれば、自炊することをおすすめします。
ちなみに、子供服などは日本よりも安く購入できる可能性があるので、お土産などに購入してもいいでしょう。
商品の違いによって税率が変わるVATですが、「それのどこが違うの?」と言いたくなるような微妙な違いもあります。
例えば、ビスケットは食料品であり税率が安くなりますが、ビスケットにチョコレートがつくとお菓子となり税率が20%になります。つまり、ビスケットは生活必需品であるものの、チョコレートはそうではない、と判断されているということです。
また、同じ商品を食べる場合でも、持ち帰りのメニューは0%で、店内で食べると20%になってしまうというケースもあります。
なぜこのような違いがあるのか、その判断基準はわかりにくいですが、微妙な違いによって税率が変わるケースがあることは覚えておくようにしましょう。
現地で買い物をすると支払うことになるVATですが、一定の条件を満たすことで、払い戻しを受けることができます。
VATが払い戻されるのは、以下のような場合です。
・EU以外の国に住んでいる場合
・EU以外の国に住んでいるが、イギリスで働いているもしくは学校に通っている人で12ヶ月以上EUを離れることが証明できる場合
・EUに住んでいる人で、EU以外の国に向けてイギリスを出発し12ヶ月以上EUに戻らない場合
2つめと3つめについては、文言だけだとやや分かりにくいですが、一般的にイギリスに留学する人に関係するのは2つ目の条件です。3つめは現地に暮らしている人が対象となる条件です。
日本に住民票がある人や、留学のように一時的にイギリスに滞在する場合でも、上記の条件に該当していれば申請することができます。
※ なお、これはイギリスがEUに所属している時点での話です。今後イギリスがEUを離脱すると、上記の条件も変わる可能性がありますが、現時点ではどのように変わるのかは不明です。
上記の条件のいずれかを満たしている人は払い戻しが受けられます。ただし、すべての商品のVATが払い戻されるわけではありません。以下のようなものは対象外です。
・サービスに対するVAT
・インターネットで買ったもの
・台座に取り付けられていない宝石
・すでに使用している消耗品
・輸出承認書が必要なもの
・600ポンド以上の商品で、商用目的のもの
・貨物として持ち出されるもの
VAT払い戻しの流れは以下のとおりです。
①払い戻しの申請用紙を入手する
②申請用紙に記入する
③手荷物検査通過の前もしくは後に税関に行き用紙を提出
④払い戻しを受ける
1つずつ確認していきましょう。
まず、払い戻しに必要な用紙は、商品を購入したお店の店員に払い戻しを申請したい旨を伝えるともらうことができます。
次に、用紙への記入ですが、主な記入内容は以下となります。
記入した用紙は税関に提出するのですが、この時、払い戻しの対象となっている商品を預け入れ荷物の中に入れたい場合は、手荷物検査を通過する前に税関に行くようにしてください。一方、手荷物として機内に持ち込む商品や一部の高価な商品の場合は、手荷物検査通過後に税関に行くようにしてください。
以上の流れを経て、提出した用紙に問題がなければVATが払い戻されます。その場で現金で受け取れるケースもありますが、場合によっては、銀行振込や小切手での自宅送付となるケースもあります。これは、VATの種類によって変わってきます。
以上がVAT払い戻しの簡単な流れです。ちょっとした手続きをするだけで、20%分のお金が戻ってくるため、ぜひ申請するようにしてください。
イギリスに留学する場合、住民税が留学生に大きく関わってきます。
イギリスの住民税はカウンシルタックスと呼ばれ、住んでいる地域によってそのレートは異なります。
日本にも住民税はありますが、日本の住民税が個人に対してかかるのに対して、イギリスの住民税は住んでいる家単位に税金が発生するのが特徴です。
カウンシルタックスは日本人であっても、現地の家に住んでいるのであれば、支払いを請求される可能性があります。ただし、以下のように一定の条件を満たしている場合は、支払いの対象外となります。
・18歳未満
・フルタイム就学中の18-19歳
・フルタイム就学中のカレッジ・大学の学生
・学生看護師
・ブリティッシュカウンシルに登録されている外国語補助教員
・重度の精神障害を持っている人
・外交官
など。なお、学生の場合、以下の条件を満たしている必要があります。
・受講コースの期間が1年以上であること
・受講コースが週21時間以上のものであること
また、受講コースが*A-Levelまでのレベルである20歳未満の場合は、
・受講コースの期間が3ヶ月以上であること
・受講コースが週12時間以上のものであること
以上の条件を満たしていれば、語学学校の学生であっても、免除の対象となります。
免除の際は、在学中の大学・カレッジにカウンシルタックスを免除してもらうためのレターを発行してもらうようにしてください。
*General Certificate of Education, Advanced Levelの訳で、イギリスの大学入学資格として認められる統一試験をさす。
なお、賃貸によっては家賃にカウンシルタックスが含まれているケースもあります。そのため、契約を結ぶ際は、事前にカウンシルタックスの有無を確認するようにしましょう。
また、友人・知人とシェアをする場合などは、住人の中に支払いの免除対象者がいると、支払う金額が変わってくるため、カウンシルタックスがいくらになるのかについても確認しておくことをおすすめします。
今回はイギリスの税金事情として、留学生や旅行者に関わってくるVAT(消費税)とカウンシルタックス(住民税)について紹介しました。
日本の消費税、住民税とは異なる部分があり、特にVATに関しては商品によって税率が変わってくるため、買い物の際には注意が必要です。
今回の内容を参考に、イギリスでのショッピングや生活をより良いものにしてくださいね。