留学前に知っておきたいカナダの税金のこと
vntkg英会話ブログ編集部2018 09.03 Mon
目次
海外留学中、住民票はどうする?
カナダ留学やワーキングホリデーで日本を離れる際、税金や保険料の手続きをします。その際に必要になる手続きのひとつが、日本での住民票を抜き「海外転出届」を提出することです。これは海外での滞在が1年以内であれば不要な手続きですが、提出して日本での住民登録をなくしておくことで、渡航後の住民税や国民年金の支払いが免除になります。
反対に、住民票をそのままにしておくと、日本にいないのに毎月住民税や保険料の支払い義務が発生し、月数万円の無駄な出費が続いてしまいます。留学中に少しでも節約するためにも、必要な手続きを調べておきましょう。
まずはカナダ滞在中、日本で支払っている税金や保険料等はどうなるのかを解説します。
1. 住民税
住民税は、1月1日時点で住んでいる地域の役所に対して支払う税金のこと。前年の1月から12月までの収入に応じて支払いの義務が発生し、6月に請求されます。会社員など給与所得者は、6月から翌年5月までを毎月分割して給与天引きされ、給与所得者以外は6月に各市区町村から請求され、一年間で4回にわけて支払います。
海外転出届を提出し、住民票を抜くと非住居者とみなされるため、その期間の住民税は免除になりますが、すでに請求されている住民税の支払い義務は残ります。また、1月1日以前に海外転出届を提出すると免除になるタイミングが変わります。
2. 健康保険
日本に住民票がある国民は、なんらかの健康保険に加入し、保険料を支払う義務があります。給与所得者の場合は社会保険で給与天引きされていますが、退職した人や学生、自営業者などは国民健康保険に加入することになります。
海外留学で国外転出届を提出し、住民票を抜いた場合は国民健康保険の加入義務はなくなり、保険料の支払いも必要なくなります。
2001年より海外の医療機関でも日本の国民健康保険が適用されるようになったため、一年以内の留学で住民票を抜かなかったとしても、支払った保険料が無駄になることはありません。その場合、医療費の全額を一時的に自己負担し、現地にて「診療内容明細書」「領収明細書」を作成してもらい、日本で請求手続きを行うことで、医療費の7割負担分を受け取ることができます。
ただし、そうした手間を考えると、住民票を抜いて国民健康保険を解約し、海外旅行保険に加入することがオススメです。なぜなら海外旅行保険は、死亡時の保険金や、物損や盗難、国民健康保険適用外の病気やけが以外の損傷も補償されるからです。一定期間、海外に滞在する留学やワーキングホリデーでは海外旅行保険のほうが向いています。
3. 国民年金
日本国内に在住している20歳から60歳未満のすべての人に、国民年金へ加入し保険料の支払い義務があります。40年間のうち25年以上保険料を納めていれば、65歳以降ずっと年金を受給できます。が、年金の額は保険料を納めた期間によって変動し、40年すべて納めた場合は満額受給でき、未払い期間があると受給額が減額になります。
なお海外転出届を出さずに留学し、国民年金を支払わないでいると未納者扱いとなるので注意が必要となります。ただし国民年金保険料の納付の時効は2年間となり、帰国後に未払い分の保険料を2年以内までさかのぼって支払うこともできます。
また海外転出届を出した場合でも、任意加入という手続きをすることで、留学中も国民年金を支払い続けることも可能。カナダ滞在中は家族に代わりに納付してもらう、銀行口座から自動引き落としにする、クレジットカードで納付するなど、方法はいくつかあります。支払い方法は、管轄の市区町役場に確認しましょう。
留学前に知っておきたい、カナダの税金
日本同様、カナダでも買い物をすれば消費税がかかります。しかしカナダの場合、日本と違い3種類の税金があり、国に支払う「GST」、州に支払う「PST」、その二つを合わせた「HST」があり、州によって税制が異なります。
まずはそれぞれの税金を解説するとともに、留学生が覚えておくと得をする所得税についてもご紹介します。
GST(Goods and Services Tax)連邦税(税率:一律5%)
カナダ連邦政府に支払う消費税で、おもに物販やサービスに対して課税されます。税率はカナダ全土で一律5%。ただし、以下のものは非課税対象です。
- パン、牛乳、野菜などの食料品
- 穀物などの農産物
- 医療機関、医療器具、医療サービス
- 住宅(一部を除く)
- 育児、教育サービス
PST(Provincial Sales Tax)州税(税率:0~10%)
HST(下記)対象の州とアルバータ州を除く各州で、GSTとは別で州政府に支払う消費税があり、課税対象物や税率は州によって異なります。アルコールや嗜好品はとくに高い税金が課されるので、タバコなどをよく吸う人は、現地調達よりもできる限り日本から持参したほうが得策かもしれません。
またケベック州はPSTではなく「QST(Quebec Sales Tax)」となり、 フランス語で「TVQ (Taxes des Ventes du Québec)」と呼ばれます。
日本では、消費税8%一律(2017年現在)ですが、カナダではPSTの税率の違いで最大で15%が課税される州もあり、倍近くの税額に驚いてしまうことも。しかしカナダは税率は高いですが、生活必需品や薬、医療費には消費税がかからないので、その点は安心です。また州によって「何を生活必需品とするか」の基準が異なるので、自分の滞在先の課税対象物をしっかりと調べておくといいでしょう。
HST(Harmonized Sales Tax) ハーモナイズド消費税(税率:一律13%)
GST(5%)とPSTを合わせて一律13%を課す消費税で、ブリティッシュ・コロンビア州、ニューブルンズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバ・スコシア州、オンタリオ州で導入されています。課税対象はGSTと同じですが、この制度により、ガソリンなどは導入前より税率が上がってしまったものもあります。
なお州ごとの税率は以下の通りです。
ワーホリ留学生はちょっと得する「タックスリターン」
日本では、所得税の申告は個人事業主など限られた人が対象ですが、カナダでは全国民が確定申告の対象となります。
カナダ国内で就労した外国人も対象で、ワーキングホリデーで訪れた人は給料天引きで納めすぎた所得税が還付(タックスリターン)されることがほとんどです。書類手続きなど手間がかかりますが、多くて1,000ドル以上にもなることも。滞在中に必ず手続きを行ってから帰国してください。申告時期は毎年2~4月で、必要書類は郵便局や税務局でもらえる「T1 General」という申請用冊子、前年度の勤務先からもらう「T4」という書類です。所得税のほか、高額医療費や学費などが控除されることもあります。
なお、申告は個人でもできますが、書類の手続き等がスムーズにいかないこともあり、知識や手間が必要とされるので、留学エージェントや代行会社に依頼する人も多いです。還付金は小切手または銀行振り込みによってカナダ政府より直接支払われますが、いずれもカナダの住所、カナダの銀行でないと対応不可なので、帰国後、現地の友人などに協力してもらうといいでしょう。
まとめ
カナダ留学では滞在先の税制度をしっかり理解しておくことで、無駄な税金の支払いを避けることができたり、払いすぎた税金が戻ってくることもあります。渡航前にきちんと把握しておきましょう。
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