Kzy Shibata
(更新)
海外で生活してみたい、言葉を学んで外国人とコミュニケーションが取れるようになりたいなどさまざまな理由から留学に憧れている人は多いのではないでしょうか?
しかし、留学にあたってはクリアしなければいけない現実的な問題があります。それはズバリ、ビザ。
ビザがなければどんなに頭がよくても、どんなに意欲があっても留学できない場合があります。また、国によってビザの内容も異なるため、国ごとに対応しなければいけません。
そこで、今回はイギリスに焦点を当て、イギリスのビザの概要、大学や語学学校への留学に必要なビザについて解説していきます。
まずは、ビザがどのようなものなのか、そしてイギリスのビザの概要について確認しておきましょう。
ビザとは、その人が所有するパスポートが有効で、その国への入出国を許可する公印のことです。簡単にいうとその国への入国推薦状のようなものです。
国、滞在目的、期間によってはビザが不要な国もありますし、必ずビザ申請を必要としている国もあります。特に観光目的の場合は、ビザの申請が不要なケースも多いです。もし申請が必要な場合、日本にある当該国の大使館、もしくは領事館などに足を運んで申請することになります。
また、ビザの申請方法や条件が突然変わるということもあるので、留学にあたっては最新の申請方法や条件をおさえておくようにしましょう。
ちなみに「パスポートがあれば外国に入国できるのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、パスポートはあくまでもその人の国際的な身分を証明するものであり、必ずしも入国を許可するものではありません。
ビザの申請には時間がかかるので必ず事前に確認しておくことがポイントです。
では、今回のテーマでもあるイギリスのビザはどのようになっているのでしょうか?
イギリスの場合、6ヶ月未満の観光や出張などの業務であればビザは必要ありません。また、30日以内であれば就学も可能。つまり、観光しながら語学学校に短期間で通うことができるというわけです。
しかし、それ以外の場合は基本的にビザが必要になります。また、6ヶ月以内の滞在であっても入国審査時に滞在目的を聞かれたり、語学学校に通う場合は入学許可証が求められたりすることがあり、英語力が不足していると入国を拒否されてしまう可能性もゼロではありません。
次にビザの取得のしやすさですが、先述の通り、国によってビザの種類や条件が異なるため一概に取りやすいかどうかは判断することができません。
しかし、外務省が公開している「海外在留邦人数調査統計」では、イギリスに在留している人が2017年(平成29年)度で62,887人、(独)日本学生支援機構が公開している「協定等に基づく日本人学生留学状況調査結果」によると、イギリスに留学している学生が2016年(平成28年)度で5,827人となっています。
これらの数字は他国と比べても比較的上位であるため、数字を見る限りはビザは決して取りにくくないのではないかと考えられます。
参考
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf
http://goo.gl/4BzxRT
ここからは、イギリスにどのようなビザがあるのか、その種類を確認していきたいと思います。
留学以外で使用するビザもありますが、自分の留学にはどのビザが必要なのか理解するためにも、それぞれのビザの内容を把握しておきましょう。
Tier1は就労ビザの中でも高度な技能を持っている人向けのビザ。Tier1と一言でいってもいくつかの種類がありますが、対象となるのは芸術、科学、人文科学、工学、デジタル・テクノロジーなどの分野において高度な技能を持っている人のほか、起業家や投資家などです。
Tier2は、一般的な就労ビザです。日本人がイギリスで就労する場合このビザが必要になります。このTier2には大きく分けると「General(一般)」と「Intra-Company Transfer(企業内転勤者)」の2種類があり、前者は現地採用の人に、後者は主に駐在員などに発給されるビザです。
Tier4は学生ビザであり、主に大学や専門学校といった高等教育を受ける場合に必要な「General」と初等教育や中等教育を受ける場合に必要な「Child」があります。
Generalは16歳以上、Childは16歳未満が対象です。Generalビザであれば制限付きではあるものの就労も可能となります。
なお、語学学校への留学をする場合は、このTier4ではなく、後ほど紹介するShort-term Study Visaとなります。
Tier5は「Youth Mobility Scheme (YMS) Visa」と呼ばれるビザで、いわゆるワーキングホリデー用のビザとなります。このYMSビザがあれば最長で2年間イギリスに滞在することができ、その間はフルタイムでの就労が可能となるほか、語学学校への就学も可能です。
なお、申請できるのは18歳〜30歳以下(渡英時は31歳でも可)です。ビザの定員は1,000人と決まっていて1月と7月に2回抽選が行われます。仕事も就学も可能ということで自由度は高いと言えるビザですが、その分人気も高く、条件を満たしているからといって必ずしも取得できるわけではありません。
Short-term Study Visaは語学学校などに通うためのビザであり、6ヶ月のものと11ヶ月のものがあります。6ヶ月のものでは語学学校のほかに、大学が行うアートやメイクアップ関連の短期コースを受講することもできます。
なお、申請に関しては6ヶ月のものは、日本で申請することもできますが、事前の申請をしなくてもイギリスの空港で入国時にパスポートや学校の入学許可証を提示しビザをもらうこともできます。一方の11ヶ月のものは事前に日本で申請することになります。
語学留学を希望する人などは、このビザを利用する人が多いでしょう。
上記以外にもさまざまなビザの種類があります。留学をするのであればあまり関係ないものですが紹介します。以下は一例です。
Partner Visa (パートナービザ) | イギリス人、もしくはイギリスへの滞在許可が下りている人と結婚を付き合っている場合に利用できるビザ |
Fiance Visa (フィアンセビザ) | 有効期限内(6ヶ月)に結婚することが前提のビザ |
Marriage Visa (結婚ビザ) | イギリス人と結婚した時に利用できるビザ |
Settlement Visa (永住権) | 各種ビザで一定期間を過ごした場合に利用できる |
続いては、実際にビザを申請するにあたっての申請方法について紹介します。
ここでは大学などへの留学に必要なTier4(General)とShort-term Study Visa(11ヶ月)の取得を想定しています。
※申請方法や内容は変更になる可能性があるので注意してください
申請にあたって必要な書類は以下のとおりです。
一つずつ確認していきましょう。
まず、海外に行くので当然パスポートが必要になります。期限を確認することに加え、残りの空白ページの数も把握しておきましょう(最低でも両面が空白のページが1ページは必要)。また、パスポートの更新を行っている場合は、過去のものも全て用意する必要があります。
学校から発行されるCAS番号とは、入学手続き完了時に連絡が来る入学許可の番号です。この番号を用意しておく必要があります。基本的に入学許可書の原本は不要です。
プレセッショナルコースと呼ばれるアカデミックな英語を学ぶコースに進む場合はIELTSのリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの各スコアが4.0以上、大学や専門学校に進む場合は各スコアが5.5以上必要です。
また、IELTSといっても「IELTS for UKVI」というイギリスのビザ申請のためのIELTSの受験が必要となるので注意してください。
資金証明に関しては、本人名義の通帳や取引明細によって残高を提示することで証明できます。残高に関しては申請日に一時的に入金しておけばいいというわけではなく、書類提出日から逆算し継続して28日以上維持された状態でなければいけません。また、通帳や取引明細に関しては英訳したものも必要となります。
もし、留学する本人の通帳の残高が足りないのであれば両親名義の通帳でも対応できます。しかし、その場合は親子関係を証明するために戸籍謄本および翻訳したものの提出も必要となるほか、サポートレター(英文)も用意しなければいけません。
なお、必要な金額に関しては留学する期間と都市によって異なります。
顔写真はパスポートサイズの顔写真1枚が必要です。滞在先証明については現地で暮らす場所を示す必要があります。ホームステイであればホームステイ先、学校の寮であればその住所などを提示します。
ビザの申請にあたってはまず、オンライン上で申請を行いその後、大阪と東京にあるビザセンターにて手続きを行います。そのためオンライン上で作成する申請書も必要となります。オンライン申請を行うとビザセンターの予約ができるので、予約を行い、予約確認書を印刷しましょう。
なお、オンライン上での手続きは以下のサイトで行います。
http://www.visa4uk.fco.gov.uk/
また、ビザセンターの住所と窓口の時間は以下のとおりです。
【住所】 | 【申請】 | 【パスポートの受け取り】 | |
東京 | 東京都港区東新橋2-3-14 エディフィチオトーコービル4階 | 月曜〜金曜の 午前8時〜午後2時まで (祝日のぞく) | 月曜〜金曜の午後12時30分〜午後1時30分(祝日のぞく) |
大阪 | 大阪府大阪市中央区南船場1-3-5 リプロ南船場ビル10F | 月曜〜金曜の午前11時30分〜午後1時30分(祝日のぞく) |
申請にあたっては348ポンド(約5万700円)が必要となります。
また、Tier4の場合、申請してから10日以内に審査が完了するとされていますが、念のため日程には余裕を持つようにしておきましょう。
さらに、6ヶ月以上の滞在の場合「National Health Servise(NHS)」と呼ばれる健康保険料の支払いも必要です。料金は年間150ポンド(約2万1,800円)です。
11ヶ月のShort-term Study Visaの場合も基本的な申請方法はTier4と同じですが、Tier4よりも取得しやすいとされています。
申請にあたって必要な書類は以下のとおりです。
Tier4と共通しているものの説明は省いて、ここでは異なるものについて説明します。
Tier4ではCAS番号が必要でしたが、Short-term Study Visaでは入学許可証の提出で済みます。わざわざ学校からCAS番号が送られてくるのを待つ必要はありません。
また、Tier4で必要だった英語のレベルの証明は不要です。一方で、Tier4では不要だった往復の航空券が必要となります。これはTier4が期間を延長することができるのに対して、Short-term Study Visaは延長することができないため、不法滞在を防ぐために必要となるものです。
Tier4同様お金の証明が必要となりますが、Short-term Study Visaの場合、滞在期間の全てをカバーすることができるだけの費用が必要となります。目安としてはロンドンに滞在する場合、授業料とは別に月1,265ポンド(約18万4,000円)以上、ロンドン以外に滞在する場合、1,015ポンド(約14万8,000円)と言われています。ただし、この金額は絶対的なものでなく変動する可能性があるので注意してください。
留学計画書は現地での留学生活の詳細な計画を英語で作成します。ただ、提出を求められないケースもあるようです。
ちなみに、先述の通り、Short-term Study Visaのうち6ヶ月のものに関しては事前の申請は行わなくてもよく、現地の空港で入国審査をする際に発行手続きを行います。
審査時は往復の航空券と入学許可証、滞在先の証明書、英文での残高証明書(英文)が必要になります。残高証明に関しては日本の銀行で依頼することができます。
書類に不備があると審査に時間がかかるだけでなく、最悪の場合入国拒否される可能性もゼロではありません。
審査の際に英語能力がどれくらい必要なのか、という点が気になる人もいるかもしれません。実際のところ、審査を担当する人によりますが、筆者の場合、つたない英語で書類を提示して無事に通過することができました。事前に簡単な英語を覚えておくと役に立つはずです。
どうしても、空港での申請に不安を感じる場合は日本で申請することも可能ですが、その場合申請料として97ポンド(約14,000円)がかかります。
今回は、イギリス留学に必要なビザとその申請方法について紹介してきました。ビザ申請は留学に向けたハードルの1つだと言えます。自分で全てできるに越したことはありませんが、どうしても無理な場合は申請を行っている会社を利用することもできます。素敵な留学生活を送るためにもしっかりと申請を行うようにしましょう。