目次
過去に2回お送りしてきたTED動画特集。今回はサイエンス編の第2弾をお送りします。
《前回の記事》
▷ 英語学習者なら絶対に見るべきTED動画5選(サイエンス編)
普段の生活ではなかなか聞くことも少ない科学分野のお話ですが、TOEFLでは必出のテーマ。英語学習者であればぜひとも押さえておきたいところです。
それでは、早速見ていきましょう!
1. The game that can give you 10 extra years of life
「ゲームが10年寿命を延ばす」というインパクトあるタイトルの通り、このスピーチでは、“人生にもたらすゲームの効用” がゲームデザイナーであるジェーン・マゴニアル氏によって語られています。
「ゲームが10年寿命を延ばす」だなんて、にわかには信じがたいような話。ですが、ゲームに関する心理学を10年以上研究してきたというマゴニアル氏の知見と、実際に3ヶ月間寝たきりになったときの経験によって裏付けられているために説得力があり、ゲームをしないほうがかえって身体に害がありそうな気がしてきてしまいます。
このスピーチで覚えたい専門用語
スピーチ中に出てくる “math” は「数学」ではなく「数式」の意となります。
I have math to prove that it is possible.
「それを証明する数式がきちんとあるのです」
また、“the cognitive symptoms(認知的な症状)” も、医療分野の文章においてよく出る印象のある言葉です。
スピーチのなかにはその場でできるミッションが用意されており、画面越しにゲームの効用を実際に感じることもできます。
スピーチなので言葉で説明するのはもちろんですが、こうしたワークショップ的な要素を交えることでリスナーとの距離を縮める技はさすがですね。
2. Conception to birth — visualized
受胎から誕生まで、胎児の育っていく様子を映像として見せてくれるスピーチです。
今まではスキャン技術が発達していなかったのでこのような映像を見ることはできませんでしたが、国立衛生研究所とMRI装置の専門家とスピーカーである科学的可視化主任 アレクサンダー・シアラス氏の3人がタッグを組んだことで実現しました。
リアリティ追求のため、途中、ややグロテスクともとれるような映像も流れますが、ただの球体であった一つの受精卵が徐々に人のかたちをなしていくさまは、神秘という言葉以外にたとえようがありません。
このスピーチで覚えたい専門用語
- cornea:網膜
- Oocyte:卵母細胞
- Sperm:精子
- Egg Inseminated:受精卵
視覚に訴える部分があるため内容は理解しやすいですが、用語は難解なものが多く使われています。
おおよそ「発生」に関するものだとわかっても、具体的に何を指すのかを推察するのはけっこう骨が折れるもの。一度覚えてしまえばリーディングの時間の節約になるので、余裕がある方は覚えておくことをオススメします。
人体は非常に複雑に作られているにもかかわらず、人間に組みこまれたプログラムは確実で、大きなミスを生むことがありません。数学者であるシアラス氏は「魔法のようだ」と話します。
これだけ技術が発達してもなお、わからないことが残る私たち人体の不思議。壮大な宇宙は地球の外だけでなく、私たちの中にもあるのかもしれませんね。
3. The roots of plant intelligence
植物学者ステファノ・マクナソー氏による「植物が持つ知性について」のスピーチです。
キリスト教の聖書をはじめ、歴史のなかで人間は、知性の対象として自分たちを含めた動物に重きを置いてきました。しかし、植物にも見逃すべきでない知性があるとマクナソー氏は主張しています。
たとえば、元来動かないものとされている植物のなかにも、ハエトリソウやオジギソウのように捕食の際動くものや、揮発性の物質を出すことで動物とのコミュニケーションをはかるようなものまであるといいます。
私たちがよく知る蘭も、自分たちは一歩も動かずに蜜で昆虫を「誘惑」し、子孫を残す手伝いをさせてしまうといいますから驚きですね。
このスピーチで覚えたい専門用語
- vector:花粉媒介者(生物学用語)
- pollen:花粉
- pollination:受粉
このほかにも数多くの植物の知性がスピーチ内で紹介されています。このスピーチを聞けば、今までそれほど気に留めてこなかった植物の「賢さ」に、あなたもぞっこんになること間違いなしです。
4. The ocean's glory — and horror
海中写真家による、「海中生物の危機と保全」についてのスピーチです。
海に「恋」をして海中写真家になったブライアン・スケリー氏は、大量捕獲や気候変動により絶滅の危機に瀕している海の生物たちの写真を撮り、発信し続けることで、事態の重大さを喚起してきました。日本の築地市場での様子を糾弾しているシーンもあり、日本人としていろいろと考えさせられます。
海の生物全般を愛しているスケリー氏ですが、とりわけ愛情が深いのはサメに対してのようで、4種類ものサメについてのトピックが挙げられています。
日本にも、魚好きの有名人にタレントのさかなクンがいますが、スケリー氏はさしずめ「アメリカのさめクン」といったところ。魚について語るときの目は本当にキラキラ輝いています。
このスピーチで覚えたい専門用語
- Nudibrank:海綿生物
- marine reserve:海洋保護区
- marine reserve:海洋保護区
“reserve” は、よく使われる「予約する」という意味のほかに「(手を付けずに)とっておく」という広義の意味も持ちます。そう考えると、“marine reserve” =「海洋保護区」というのも覚えやすいですね。
スピーチの最後では、海洋保全の重要性と可能性を感じさせる事例が紹介され、希望的に締めくくられています。普段、陸で生活している私たちにとって海はそれほど身近なものではありませんが、今一度「母なる海」とそこに住む生物たちのことを考えてみる良い機会かもしれません。
5. Averting the climate crisis
地球温暖化に鋭い角度から言及し話題となった『不都合な真実』の著者であり、元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴア氏による気候変動に関するスピーチです。
世界的な問題である気候変動ですが、かなり身近なところから解決できるのだということを熱く説いています。
このスピーチで注目すべきは、なんといってもアル・ゴア氏のスピーチの仕方。前半はほとんど、観客をスピーチに引き込むための導入として割かれているのですが、さすがは政治家として場数を踏んでいるだけあり、会場を笑いで沸かせる要素を随所に散りばめています。
当然のことながら、スピーチ内には気候変動に関する専門用語が数多く登場します。
このスピーチで覚えたい専門用語
- transportation efficiency:輸送機関の効率
- reduce emissions:排出量を減らす
- green consumer:環境問題を意識する消費者
これらの言葉は気候変動の設問内でTOEICにもよく出てくるものなので、頭の片隅に置いておくと文章にとりかかりやすくなりますよ。
アル・ゴア氏は政治家ではあるものの、これは党利の問題ではないと強くうったえます。
気候変動に関する問題は、アメリカ全体の団結のみにとどまらず、人類の生き残りをかけた地球人全員の問題であると、改めて認識しなおす必要がありそうです。
さいごに
普段の生活ではあまり触れることのない分野だからこそ、新しい発見があり、面白いと感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
英語学習はもちろん、単純に教養を蓄えることでも有効なTED。ネットさえあれば、いつでもどこでも見ることができるので、皆さんもぜひ一度ご覧になってみてください!
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