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前回、英語学習者なら見ておくべき「ビジネス」をテーマにしたTED動画をご紹介しました。今回は、その【サイエンス編】をお届けしたいと思います。
▷ 夏休み中に絶対見る!英語学習にも最適なTED動画10選(ビジネス編)
TOEICやTOEFLなどの問題を解くときには、英語力だけでなく各専門分野の基礎知識も必要になってきます。ビジネス分野の設問の場合、自分の経験に照らし合わせながらなんとなく解けることも多いですが、サイエンス分野の設問となると苦手意識を抱いてしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、サイエンス分野のオススメTED動画を5本ピックアップしてみました!
「人体の不思議」から「植物の知性」「気候の変動」といった内容まで、幅広い範囲をカバーした英語スピーチを聞けば、サイエンス分野の専門英語も攻略できるはず。
それでは、さっそく見ていきましょう!
(動画はどれも、動画右下のふきだしアイコンをクリックすればお好みの言語の字幕をつけることができます)
1. My stroke of insight
スピーカーである脳科学者ジル・ボルト・テイラー氏自身が経験した脳卒中についてリアルに話してくれるスピーチです。
脳科学者の立場からの専門知識を用いた説明と、脳卒中患者の立場からの症状の描写がシンクロして、わかりやすく、同時に興味深い内容になっています。
脳卒中の発作が起きているときの描写には比喩が数多く使われており、幻想的な別世界に私たちをいざなってくれます。そして、テイラー氏が完全に言語中枢を回復させるまでに費やした期間はなんと8年! 自分の意志でものごとを判断し、選択できる素晴らしさを、身をもって示してくれているのです。
このスピーチで覚えておきたい専門用語
- a stroke:脳卒中
- the spinal cord:脊髄
脳科学に関するスピーチなので、当然ながら人間の器官に関する専門用語が数多く出てきます。“Brain(脳)” をはじめ、これらの周辺用語も知っておくとスピーチの内容がより理解しやすくなりますよ。
また、同タイトルの著書も出版しているとのことですので、興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか?
2. How electroshock therapy changed me
こちらは、電気ショック療法をテーマにしたスピーチです。
前半は主に電気ショック療法の歴史について語られ、身体にはいった「悪魔」を振動を起こして追い払うために用いられたのが起源になっているなど、ただ聞き流すだけでも興味深い、教養のあるお話を聞くことができます。
後半は、うつ病になったスピーカー S.B.ヌーランド氏自身が、電気ショック療法でいかに病気を克服していったかという闘病生活における人間ドラマが描かれています。淡々と事実を述べる前半に対し、後半は感情にうったえる内容なので、スピーカーの話し方の違いにも注目してみるとおもしろいかと思います。
病気に限らず、何かに苦悶している最中には、もう二度と良い状態には戻れないのではないかという強迫観念に駆られますが、いつか絶対に良くなるのだとヌーランド氏は力説します。今、苦しい状況にある方には特に聞いてほしいスピーチです。
このスピーチで覚えておきたい専門用語
- depression:鬱病
- antidepressant:抗鬱剤
- anesthetize:麻痺させる
“antidepressant” は “depression” に「反する」という意味合いの “anti” がついて名刺形になった派生語。このようにひとつの単語から連鎖的にボキャブラリーを増やしていくのも賢い手ですね。
3. Is our universe the only universe?
次にご紹介するのは、宇宙に関する新たな説を唱えるアメリカの理論物理学者ブライアン・グリーン氏のスピーチです。
「ユニバース」が「宇宙」を指し示す言葉であるというのは今や常識ですが、新説が証明されると、「ユニバース」は「マルチバース(多元宇宙)」になってしまうかもしれないということを説いています。
スピーチの構成は大きく分けて3部に分かれています。第1部では、ノーベル賞受賞の観測結果とそれによって生まれた謎について、第2部では、その謎を解き明かすための仮説について、そして第3部ではインフレーションという宇宙理論についてが解説されています。
スピーチの構造がわかりやすい分、意味がとりやすいので、宇宙についてあまり知識がないという方でも十分楽しめるでしょう。
このスピーチで覚えておきたい専門用語
- atoms:原子
- subatomic particles:素粒子
グリーン氏の理論自体はスピーチのなかでかなり詳細に説明されているので、あえてここで触れることはしませんが、私たちの住む地球、ひいては宇宙にはまだまだ謎が残されているようです。
TOEICに向け英語の勉強に励みつつ、果てしない銀河に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?
4.Zombie roaches and other parasite tales
タイトルに「ゾンビ」とあるので少しドキリとしてしまいますが、こちらは寄生虫に関するスピーチです。
しかし、内容はゾンビも顔負けの、ある意味「ホラー」な内容。寄生虫が宿主であるゴキブリをマインドコントロールする例や、私たちの仲間である哺乳類に寄生する種の話まで、他人事ではない、ひやっとするようなエピソードが多く語られています。
しかし、おもしろいのはスピーカーであるサイエンスライター エド・ヨンの語り口。
淡々と話されるとホラー以外のなにものでもないような話ですが、茶化したように語られることで、不思議と恐怖以上に、寄生虫の生き様に魅力を感じるようになるのです。
こうした話術はどの分野においても使えるので、試験時のスピーチに備える意味でもしっかりと盗んでおきたいですね。
このスピーチで覚えておきたい専門用語
- parasite:寄生虫
- host:宿主
- mammal:哺乳類
- reproduce:生殖
特に、“parasite” と “host” が対義の関係にあることを理解しておくといいでしょう。
このスピーチを聞けば、きっとあなたも寄生虫に対する見方が変わるはず。虫の音が聞こえ出す秋の季節、ぜひTEDでも寄生 “虫” のお話に耳を傾けてみてはいかがでしょう。
5. Why we love, why we cheat
「恋愛」という現象を、生物学的な観点から、あるいは文学の観点から、そして社会学的な観点から説明してくれるスピーチです。スピーカーは人類学者のヘレン・フィッシャー氏。
一種の感情論で片付けられがちな「恋愛」ですが、実は非常に科学的な観点からの裏付けがなされていることに驚かされます。
スピーチ中に “be madly in love” という表現が出てきますが、これは「熱愛中の」という意味。“mad” には「夢中になる」という意味のほかに、「気が狂いそうな」という意味もあります。燃えるような恋は、ときに正常な感覚を狂わせてしまうということを示唆するのに適切な表現かもしれませんね。
誰しも一度は経験したことがあるだろう恋愛。なかなかうまくいかないという人は科学の力に頼ってみるのも良いかもしれませんよ。
おわりに
ビジネス編に続き、TED動画サイエンス編をお届けしましたが、いかがでしたか?
専門用語が多く小難しい印象のある科学のお話も、映像と合わせて聞くとわかりやすく感じたのではないでしょうか?
このほかにも、TEDには語り口や切り口がおもしろいスピーチが数多くあります。ご自身のお気に入りのスピーチを発掘するような感覚で、TEDを英語学習に取り入れてみてください。そうすれば、きっとTOEIC満点も夢じゃないです!
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