ほっこりストーリーで子どもと楽しく英語学習! 何としても手に入れたい海外の絵本3選

  • 1. 英語の参考書に飽きてきた
  • 2. 何か新しい英語とのふれあい方を探している
  • 3. 日々の生活で、つい「癒し」を求めてしまう

上のどれか1つでも当てはまった方、海外の絵本を読んでみませんか?

今回は、見て・読んで癒される海外の絵本を3冊紹介したいと思います。
今年イギリスで賞を獲得したばかりの癒し効果抜群のものを1冊、日本語バージョンが日本でも有名な定番絵本の原書を1冊、そして、アートセンスが炸裂する1冊を最後に紹介します。

思わずジャケ買いしてしまう『The Bear and the Piano』

『The Bear and the Piano』
著者:David Litchfield
出版社:Clarion Books

 
まずは、私が最近ジャケ買いして大当たりだった一冊がこの『The Bear and the Piano』。

表紙のほんわかしたクマのイラストから「あ、なんかよさそうな本だな」とビビッときたのですが、それもそのはず、作者のDavid Litchfieldはイラストレーターなんです。
そして、この絵本はイギリスのWaterstones Children's Book Prize(ウォーターストーンズ・チルドレンズブック・プライズ)という賞で2016年度のBest Illustrated Bookに輝いています

ほのぼのした空気が溢れ出るやさしいタッチのイラストですが、ストーリーもそれを裏切らない、あったかくてほっこりするお話です。

ストーリー

the bear and the piano2

物語は、森に暮らす子グマがある日、森の中に置き去りにされた一台のピアノに初めて触れるところから始まります。

子グマはこれまでピアノというものを見たことがなく、それがいったい何なのかも分からずに、そーっと鍵盤に触れてみると、不思議な音がしました。

それ以来、毎日毎日ピアノのもとにやってくる子グマ。やがて大きく成長する頃にはピアノが大好きで大好きで、とても美しい音を奏でるようになっていました。

その美しい音色に引き寄せられて、毎晩森じゅうのクマが演奏を聞きに集まってきます。ところがある日、その様子を見た人間から「都会に行って演奏しない?」とショービジネスの世界への誘いが。

悩んだ結果、都会へ行く決心をしたクマ。都会ではクマの奏でる音色に人々は魅了され、瞬く間にピアニストとして大成功を収めます。コンサートのチケットやCDは飛ぶように売れ、あらゆる賞を総ナメにし、メディアにも大きく取り上げられる日々。

そんな、夢を実現して名声も手に入れたクマがある日取った行動とは……。

読み終えた時にはジーンとするだけではなく、なんだかツンとしたものも込み上げて来て、家族や大切な人に会いたくなるお話です。

どんな人にオススメ?

英語自体はそれほど難しい表現は使われていませんが、中学英語程度の英語力は必要です。

小さなお子さんもそうですが、大人(特に普段は大切な人と離れて暮らしている人)におすすめな一冊です

不朽の名作『ちいさいおうち』の原作『THE LITTLE HOUSE』

THE LITTLE HOUSE
著者:Virginia Lee Burton
出版社:HMH Books for Young Readers; New版

 
日本で数多くの子ども・大人に愛されてきた不朽の名作『ちいさいおうち』の原作がこの『THE LITTLE HOUSE』です。

1942年に出版され、翌年の1943年には最も優れた子ども向けの絵本に授与されるアメリカの権威あるCaldecott Medal(コールデコット賞)を受賞

70年以上前に書かれた古い作品ですが、それを感じさせないどころか、今の時代に生きる私たちが読んでなお心に刺さるものがある、珠玉の一冊です。

ストーリー

the little house2

ど田舎の大自然の中にポツンと建つ、ある一軒の小さな「おうち」がこの物語の主人公です。

「おうち」は小高い丘の上に建っていて、朝には日が昇るのを観察したり、夜は日が落ちていく様子や月の満ち欠け・満天の星を眺めては毎日幸せでした。
周りには木々や鳥、花などの自然が溢れ、春には鳥たちのさえずりや木々の芽生えを感じ、夏には子ども達がプールで遊ぶのを眺め、秋になれば紅葉を愛で、冬には子ども達がアイススケートを楽しむ、そんな季節の移り変わりをそっと見守ることが「おうち」の幸せでした。

ところが、そんな田舎にも近代化の波が押し寄せてきます。

「おうち」の周りの道路はいつしか舗装され、たくさんの車が行き来するようになり、ついには高層ビルや電車に地下鉄までもが出現。のんびり楽しそうに「おうち」の周りで遊んでいた子ども達はすっかり姿を消し、人々はどんどん忙しく、足早に「おうち」の周りを通り過ぎるように。

年月が経ち、住人を失ってみすぼらしい姿になり果てた「おうち」は心を痛めますが、どうすることもできません。
しかし、そんなある日「おうち」に転機が訪れます。

作者のバージニア・リー・バートンは自然と調和して生きる、ということを70年以上前のこの時代にすでに訴えていた人でもあります。
「おうち」が愛した美しい自然は一見どこにでもありそうですが、実はいったん失うと最も取り戻しがたいものだということを失って初めて思い知らされます。豊かな暮らしとは何かを見つめ直すきっかけになる、そんなお話です。

どんな人にオススメ?

日々の生活に忙殺されている大人は必読の一冊

また、大人が読んでもテーマが深いと感じる本ですが、私自身が子どもの頃に日本語版『ちいさいおうち』を読んで忘れられなかったので、子どもに読み聞かせても子どもなりに感じるところがあるストーリーです。

ハッと目を引く表紙『TREE』

TREE
著者:Britta Teckentrup
出版社:Doubleday Books for Young Readers

 
この絵本をおすすめする理由は何と言ってもアート性の高さ。ハッと目を引く表紙からもその片鱗が窺えますが、鮮やかな色使いと大人っぽいシックな色使いが同居した、センスを感じさせるイラストがこの本の特徴です。

また、この本のフルタイトルは『seasons come, seasons go TREE: A Peek-through Picture Book』。
その名のとおり、季節の移り変わりをページに開けられた穴から「覗き見る」楽しい絵本となっています

ストーリー

TREE2

表紙の木の穴の中からこちらを覗いている一羽のフクロウ。このフクロウの目を通した森の季節の移り変わりの様子が描かれています。

冬は寒く雪が積もり、しんと静まりかえる森。しかし、暖かくなるにつれて子グマがやってきて踊ったり、リスが枝の間を跳ね回ったり、鳥たちが集まってきて歌ったりと、とても賑やかになっていきます。

最初は穴の中からフクロウが覗いているだけですが、ページをめくるごとに木の中の穴が一つまた一つと増え、そこに鳥や動物が登場します。

そして、だんだん空気が涼しくなってきて秋を迎え、さらに冬に向かうにつれて動物が一匹また一匹と減っていき、ついには森じゅうが冬眠してしまいます。

イラストの細部にも季節の移り変わりを感じとることができ、1ページ1ページにじっくり見入ってしまいます。

森の様子を描写する物語自体はとてもシンプルで、“Juicy apples, ripe and sweet, Almost ready for you to eat” のように全ページ韻を踏んでいるので、声に出して子どもに読み聞かせて楽しいストーリーに。

ページに開けられた穴から見える動物たちがかわいく、何よりもイラストと色使いが素敵なのでどんどん次のページが読みたくなる一冊。
そして、読んだ後には部屋に飾っておきたい、そんなインテリアとしても活躍するアートな絵本です。

どんな人にオススメ?

文章は1ページに2行だけのとてもシンプルな作りで、絵本ならではの絵を見て楽しむ・絵の中から何かを見つけるという楽しみ方もできるので、小さなお子さんにもおすすめ

洋書の絵本でガッツリ英語を勉強したい大人にとっては少し物足りない英語レベルですが、英語初級の学習者さんや、アートとして絵本を楽しみたい人には超オススメな一冊です。

まとめ

それぞれテイストの違う3冊を紹介しましたが、いかがでしたか?

いま自分が求めているものによって感動するポイントも変わってくると思うので、同じ本でも時間をあけて読み直すと、また新たな発見があるかもしれません。

どれも洋書を扱う大型店で入手可能なものですので、一度手にとってみてくださいね。