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a/theが不要なときってあるの?英語の「無冠詞」を徹底解説

a/theが不要なときってあるの?英語の「無冠詞」を徹底解説

冠詞とは、名詞の前につく a や the などのことです。

不定冠詞 a や定冠詞 the は、ちょっとした英文でもほぼ必ず入っているくらい英語では欠かせない単語ですが、日本語にはない働きをするので、日本語を母語とする人は苦労させられる要素の一つです。

a と the の使い方は英語学習の基本段階で学びますが、その一方で a も the も不要というケースがあるため、なおさら難しく感じられます。

そこで今回は、冠詞が不要な「無冠詞」のケースについて見ていきます!

そもそも無冠詞とは?

黒板に文字を書く少女

a や the などの冠詞を付けない表現を「無冠詞(zero article/zero determiner)」といいます。どんなときに無冠詞になるのかを順に見てみましょう。

基本的文法として、特定の何かを指すときは定冠詞 the を付けると習いましたね。そして、不特定単数の名詞には a または an を付けるというのもルールでした。

I enjoyed the movie.
「映画、楽しかった(面白かった)」
I watched a movie yesterday.
「私は昨日、映画を1本観た」

同じ不特定でも複数名詞だと無冠詞になります。

I like movies.
「私は映画(そのもの)が好きです」

冠詞を使わない複数名詞は、ものごとを一般論的に語るときに使います。上の例では特定の映画ではなく「映画一般」の意味になっています。

そもそも複数形が存在しない不可算名詞も、不特定なら無冠詞になります。

I bought furniture online.
「オンラインで家具を買ったんだ」

では次に、ものを特定している例文を見てみましょう。

This is the only furniture I have.
「これは私が唯一持っている家具だよ」

同じ不可算名詞を使っていてもこの例文では、only furniture(唯一の家具)と特定して話しているので the が付いています。

どんな言葉が不可算名詞なのか判断できるようになるには、普段から辞書を使うときは U(uncountable、不可算名詞)という記号や、mass noun(質量名詞)といった表記に注意する習慣を持つことです。

飲み物、食べ物をはじめ、不可算名詞は身近にたくさんありますよ。

他にも、パターン化した無冠詞のルールがあるので見ていきましょう。

無冠詞のルール

紙の地図を開いて見ている女性

固有名詞は無冠詞

I lived in Kyoto(私は京都に住んでいました)といった文章は英語学習の最初の方で触れる表現ですが、地名「Kyoto」に冠詞は付いていませんね。

国や場所、人の名前等々、固有名詞は基本的に無冠詞で使います。

【国や場所の名前】

Let’s go to Disneyland next weekend!
「来週末ディズニーランドに行こうよ!」
I would like to visit New Zealand some day.
「いつかニュージーランドに行ってみたいです」

【人の名前】

Your bags are next to Sarah.
「あなたのバッグはサラの隣にある」
Didn’t John say that he would be here by 5?
「ジョンは5時までに来るって言ってなかったっけ?」

【祝日・ホリデー】

What are you dressing up as for Halloween?
「ハロウィンはどんな仮装をする?」
Christmas is my favorite holiday!
「クリスマスは私の一番好きなホリデーです!」

天体

Mars(火星)、Venus(金星)など惑星の名前も固有名詞なので無冠詞です。

You can see Mars with a telescope.
「望遠鏡で火星を見ることができる」

食事

朝食・昼食・夕食は必ず無冠詞ですので、覚えておいてくださいね。

I’m eating breakfast right now.
「今朝ご飯を食べている」
We’re going out for lunch.
「外でランチを食べるよ」
Have you had dinner yet?
「夕飯はもう食べた?」

言語

Arabic(アラビア語)、Spanish(スペイン語)などの言語も無冠詞で使います。

I speak Japanese.
「私は日本語を話します」
I have a Japanese dictionary.
「日本語の辞書を持ってるよ」

2つ目の文章では、Japanese は dictionary(辞書)に対し「形容詞」として使われているため無冠詞になりません。a は dictionary に呼応して付いています。冠詞はあくまで名詞に対応します。

学問分野・科目

学問や仕事の分野や、学校の科目などは無冠詞で使います。

He teaches history.
「彼は歴史を教えています」
I work in education.
「私は教育関係の仕事をしています」
My favorite subject at school was art.
「学校で一番好きな科目は美術でした」

月、曜日

月の名前と曜日も基本的には無冠詞です。

I was born in September.
「私は9月生まれです」
See you on Sunday.
「日曜に会おう」

しかし、the first Monday (of the month) や the following Saturday のように曜日の前に形容詞が付く場合は冠詞を使うことがあります。

We have a meeting on the first Monday of every month.
「毎月第一月曜日にミーティングを行っています」

ゲーム、スポーツ

アイスホッケー選手

ゲーム、スポーツ名には冠詞は付きません。

Let's play cards.
「トランプをしよう」
I love basketball.
「バスケが大好きです」

ただし、「試合」などという単語と組み合わせる場合は、以下のようになります。

We really enjoyed the hockey match.
「ホッケーの試合はとても楽しかった」

前置詞+名詞(ルーティーン)

人々がルーティーン的に毎日行く場所やすることは、無冠詞で表現することが多いです。お決まりの言い回しとして覚えておきましょう。

You'll be late for school.
「学校に遅れるよ」
My kids are at school.
「子供たちは今学校にいる」
I am in class right now.
「私は今授業中です」
She is going to work.
「彼女は仕事へ向かっている」
I am going to bed.
「もう寝るよ(ベッドに行くよ)」

移動手段

移動手段は前置詞 by と名詞の組み合わせで表します。

  • by car(車で)
  • by motorcycle(バイクで)
  • by train(電車で)
  • by plane(飛行機で)
  • on foot(徒歩で)

前置詞+名詞=無冠詞のパターンで、これにも冠詞がありません。

We will travel by bicycle.
「私たちは自転車で旅行をするよ」

ただし、例えば以下の文で出てくる car は「移動手段」の意味ではないので冠詞 the が付いています。 

Get in the car.
「車に乗って」

名詞+数字

名詞と数字を組み合わせる場合は、a/the は使いません。

You need to get on the train at track 7.
「7番線の列車に乗る必要があります」
Mr. Jones is staying in room 3.
「ジョーンズさんは3号室にお泊りです」
Open your textbooks to page 55.
「教科書の55ページを開いてください」

覚え方のコツ

冠詞は、適切に使われていないと意味が変わってしまったりするほど大事なパーツです。ネイティブの人は、ことさら意識することもなく使いこなせるのに、英語学習者にとっては大いなる悩みどころです。

この課題を解決するには冠詞の使い方に「感覚的に」慣れてしまうことです。それにはたくさんの使用例に触れ、かつ自分でも使い慣れる必要があります。

「Article + determiner + test + practice」などのキーワードでインターネットを検索すると、たくさんの練習サイトが見つかるので、片っ端から数をこなしてみましょう。

なお、面白いことに、ニュースの見出し文では冠詞を一切使わない独特の文体が使われていますよ。普通の文章と見比べてみるのも良いでしょう。

まとめ

冠詞の有無についてのルールは細かく見るほど複雑で、覚えようとしても容易ではありません。

暗記するというよりは口に出してパターンを身に付けるなど、考えなくても反射的に出てくるようになる状態を目指しましょう。

今回は無冠詞の特集でしたが、なかには必ず the が付く名詞というのもあります。そういうものは最初から the を「込み」で覚えるようにするのも、もう一つのコツです!