ササキ ノノカ
(更新)
留学などで海外に住み始めれば、外国人の友人もできるもの。気軽に話しかけられる外国人の友人ができると、とても嬉しいですよね。
でも、文化も育ってきた背景も違う友人。徐々に話題も尽き、「何を話せばいいのかわからない……」と困った経験はありませんか?
そんな時に助けてくれるのが「日本の書籍」の話。マンガだけでなく、書籍も海外で愛されているものがたくさんあるのです。
今回は、読んでおくと会話が盛り上がる、日本の書籍を10冊ご紹介します。ぜひ空いた時間に書籍を読んで、話題作りに活かしてみてくださいね。
日本のみならず、海外でも広く知られている有名な書籍はいくつもあります。それらを押さえておくだけでも話題には困らないはずですよ!
やはり外せないのは、村上春樹さんの作品。「日本の書籍で知っているものを教えて」と海外の方に聞くと、“Haruki Murakami”と回答する方も多いそうです。『1Q84』もかなり話題を呼びましたが、賛否両論含め、『ノルウェイの森』の方が、認知度は高いようです。
幼い頃より外国文学に親しみがあったという村上春樹さんの文体は、日本人だけでなく、海外でも高く評価されています。特に『ノルウェイの森』に関しては、実際に「タブーな表現が多く、過激だが、低俗ではなく、その文体に引き込まれる」という話をしている海外の友人もいました。
英語圏の他、ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国やロシア、韓国、台湾、中国でも翻訳されて、世界各国の人々に読まれている『ノルウェイの森』。話題づくりを一番に考えるなら、村上文学の中では『ノルウェイの森』をチョイスしてみると良さそうです。
続いてご紹介するのは、同じく村上春樹さんの『海辺のカフカ』。日本でもかなり人気のある作品です。先述したように、村上春樹さんの作品を知っている外国人はかなり多いのですが、「『ノルウェイの森』しか読んだことがない」という方も、多いようです。
実際に私の友人にも「『海辺のカフカ』は聞いたことがあるし、関心もあるけれどまだ読んだことはない」と話していました。
「Haruki Murakami」を知っているという外国人の友人には、『海辺のカフカ』を英語で説明できると喜んでくれるかもしれませんよ。
ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎さんの作品も、海外ではかなり高い評価を受けています。そのなかでも、海外の方に人気なのが『個人的な体験』。息子に脳障害があることが発覚し、自分の夢と折り合いをつけるために葛藤する主人公の胸中が描かれています。
海外では、村上春樹さんの本と肩を並べるほどの知名度を誇るという大江健三郎さんの本。文学にそれほど詳しくはないという知人も、「Murakami と Oe なら、みんな知っているよ」と話してくれました。
『個人的な体験』は、大江さんの作品の中でも記念碑的だと言われ、新境地を開拓した本でもあります。難解なテーマが多い大江さんの作品にとっつきにくい印象を抱いていた方にも、オススメしたい1冊です。
2015年4月に「世界で最も影響力のある100人」に選出された、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さん。海外でも話題になり、彼女流に片付けをすることを指した“Kondo”という動詞も生まれたのだとか。
カナダに住む女性に話を聞いたところ、「いかに自分がモノに縛られて生きていたかがわかった。Kondoさんは片付けの仕方だけでなく、人生を変えてくれました」と感謝の気持ちを口にしていました。
ミニマルライフの考え方が広く支持されている欧米諸国の方々は、近藤さんの片付け術に共感しやすかったのかもしれません。もしも、留学先のルームメイトが部屋を散らかしていたら、「この本オススメだよ」とそっと手渡すのも良さそうですね。
「日本が大好き」という外国人の方もなかにはいるでしょう。続いては、そんな方と話り合いたい日本の書籍をご紹介いたします。
江戸時代初期の剣術家である宮本武蔵の書いた『五輪書(ごりんのしょ)』は、海外では“The Book of Five Rings”と呼ばれ、海外では知る人ぞ知る名著とされています。
日本が大好きなアメリカ人の知人は、「吉川英治氏の書いた新聞小説である『宮本武蔵』を読んでから『五輪書』を読むと、宮本武蔵という人間を多角的に捉えることができて、理解が深まった」と話しており、その見識の深さに驚かされたことがあります。
日本人でも読んだことがないという方が多いかもしれない『五輪書』ですが、私のように「きみは宮本武蔵についてどう思う?」と言われたときにたじろがないよう、一度は読んで教養を蓄えたいものですね。
日本が誇る文豪・三島由紀夫さんの名著『金閣寺』も、日本近代文学を代表する傑作の1つとして、海外でも評価の高い作品です。“Golden Palace”と訳される金閣寺は、観光地としても人気のスポットなので、手に取りやすいということもありそうです。
私の知人は、観光で金閣寺を見に行き、その美しさに感動して、帰国後に『金閣寺』を読んだのだとか。「あの煌びやかな輝きを見ていると、心がとっても落ち着いたんだ。庭もとっても美しかったしね。“Golden Palace”を読んでいると、その情景が思い出されて、とても幸せな気持ちになるよ」と話してくれました。
作中の主人公は金閣寺に魅せられたあまり、寺に火を放ってしまった学僧。日本に来たことのある友人には、金閣寺の魅力とともにこの本の話をするとよいかもしれません。
次にご紹介するのは、吉本ばななさんの『キッチン』です。吉本ばななさんの書く小説は難しい設定が少ないことが特徴。日本の生活というものをあまり知らない外国の方でも、すんなり話に入っていけます。
以前、日本文学をよく読むという海外の友人が、「吉本ばななの本は、初めて日本文学を手に取る外国人にとって、うってつけの本だね」と語ってくれました。『キッチン』は短編集なので、より読みやすいことも人気のひとつのようです。
日本に興味のある友人に、「日本文学を何か読んでみたいんだけど、手始めに何かオススメない?」と聞かれたときには、『キッチン』を勧めると良いかもしれません。
日本のことをよく知っている外国の方も、今では結構多くみかけるようになりましたね。そんな友人との会話で話題に出したい書籍をご紹介します。
ヤンキーとロリータファッションの女の子の友情を描いた『下妻物語』。活字からでも読み取れるインパクト大な見た目の2人は、世界にも衝撃を与えたようです。
この本が好きだという外国の友人に話を聞いてみたところ、彼女はこの本の内容を鵜呑みにし、日本でロリータファッションをしている人は全員、主食がクッキーなのだと思ってしまったのだそう。そして彼女自身もそんな「カワイイ」カルチャーに憧れているのだと話してくれました。
海外では“Kamikaze girls”というエッジの効いたタイトルで呼ばれている『下妻物語』。現地では字幕付きの映画を観ている人も多いようです。
日本のファッションに興味のある外国人の友人には、ぜひこの本の話をしてみてください。
日本のアニメ・マンガが人気なことは言うまでもないですが、それに伴って人気が高まってきているのが、ラノベ小説。中でも『涼宮ハルヒの憂鬱』は、ちょっぴりSFチックな世界観が、「単なるアニメの原作」という括りを超え、数多くの人に愛されています。
アメリカにも、少年少女が主人公となって活躍するファンタジーやSF要素の強い、比較的軽めな小説はあるのだそう。今までそういった軽めの小説を読んでいた人たちにとって、日本の「ラノベ」はドストライクだったのかもしれません。
友人がアニメ好きの場合は、この本のことを話題にあげてみるといいでしょう。
きっと盛り上がるはずですよ!
最後に紹介するのは、芥川賞作家の綿矢りささんの『インストール』。海外でも翻訳され、ヨーロッパを含めた欧米諸国で販売されています。同じく代表作である『蹴りたい背中』も名前が挙がっていましたが、横文字がそのままタイトルになっているためか、『インストール』の方が、認知度が高いようです。
綿矢さんの小説は国を問わず、若い女性の支持を受けているんだそう。綿矢りさの作品が好きだという友人に理由を聞くと、「何だか不思議でかわいい感性に日本独自のものを感じる」とのこと。
チャット風俗というキャッチーな素材を使いつつも、受験戦争、引きこもりなど、当時の日本の社会を炙り出している本作。ストーリー自体も面白いので、外国の方とのコミュニケーションの話に限らず、読んでおいてほしい1冊です。
意外な本が、海外では広く認知されているもの。全てを読破するのはなかなか難しいですが、何冊かでも読み、外国の方とのコミュニケーション手段として利用してみてください。
そこから会話が広がり、もっと絆が深まるかもしれません! ぜひ読んでみてくださいね。