【HIPHOP用語】英語で知るその文化と関連スラング一挙紹介
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ヒップホップと言えば、ラップやDJを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
実は、ヒップホップは1970年代前半にニューヨークのブロンクス区で生まれたサブカルチャーであり、アートムーブメント(芸術運動)でもあるのです。
その発展の背景には、製造業の衰退、政治問題、そして経済破綻などがありました。
今回はそのヒップホップカルチャーの基礎要素や創立者のお話をはじめ、よく使われるスラングをカテゴリ別で紹介したいと思います。
ヒップホップとは?
ヒップホップカルチャーには4つの基礎要素というものがあります。
- DJ/ターンテーブル
- MC/ラップ
- B-boying/ブレイキング
- ビジュアル/グラフィティ・アート
DJやラップの他に「ブレイキング」と呼ばれるダンススタイルや、「グラフィティ」で知られるアートスタイルもヒップホップの重要な要素なのです。
ヒップホップの始まり
DJ Kool Herc、Afrika Bambaataa、そしてGrandmaster Flash。
この3人は、ヒップホップの「Holy Trinity(聖なる三位一体)」と呼ばれるほど、ヒップホップの始まりに関わっていた重要人物だそう。
DJ Kool Hercは、ジャマイカからニューヨークに移住してきたヒップホップの創始者と言われています。
彼はジャマイカの音楽ジャンルであるダブミュージックから取り入れたミキシング手法である「ブレイクビーツ」のDJテクニックをニューヨーカーに紹介し、このスタイルを「The Merry-Go-Round(ザ・メリーゴーランド)」と名付けました。
Afrika Bambaataaは「ゴッドファーザー」という愛称で親しまれており、Universal Zulu Nationという平和と団結を促す音楽志向の組織を設立した人物です。
そしてGrandmaster Flashは、レコードを後ろ向き、前向き、反時計回りに操作した最初のDJとして知られています。また、レコードを擦って音を作るスクラッチなどを含む独特のDJテクニックを考案した人物で、ヒップホップの世界ではかなり賞賛されています。
ちなみに、ヒップホップの誕生物語について詳しく、楽しく知りたい方は、ぜひNetflixオリジナルシリーズの「The Get Down」というドラマを視聴してみてください!
ニューヨーク市の経済が破産寸前でディスコが廃れていった1970年代後半を舞台に、サウスブロンクスに住む若者たちの生活をアート、音楽、ダンスを通して映し、ヒップホップがどのように生まれたのかが見られます。
このドラマの制作には、なんと、上記でも述べたGrandmaster Flashも加わっていました。
これは知っておきたい! ヒップホップ用語
ヒップホップの基礎要素やパイオニアについてわかったところで、次はヒップホップカルチャーでよく登場するスラングや用語をカテゴリ別でご紹介したいと思います!
MC・ラップ編
ヒップホップカルチャーのなかでもっとも知名度が高いのはラップではないでしょうか? この音楽スタイルは世界中に広まり、最近はどこへ行っても聞くことがありますよね。
ご存知の方もいるかと思いますが、MCとは Master of Ceremonies(マスター・オブ・セレモニーズ) の略で、emcee と記載されることもあります。もともと「ラッパー」という言葉はなく、ラップをする人のことをMCと呼んでいたのです。
ではここで、ラップのなかでよく登場するスラングをご紹介します。
- bar(バー):歌詞の1行分
- crib(クリブ):家
- dawg(ダァーグ):仲間、友人
- fly(フライ):イケてる、かっこいい、クール
- flow(フロウ):ラッパー・MCの歌い方、歌い回し
- no cap(ノーキャップ):「本当だよ」「嘘じゃない」という意味
- rhyme(ライム):韻
- state of mind(ステイト・オブ・マインド):気分、精神状態
- skrilla(スクリラ):お金
- shorty / shawty(ショーティー):女性
- thang(サング):「thing」のスラングで、既知の流行や人気のある活動を示すために使用されることが多い
- vibes(バイブス):ノリ、雰囲気、フィーリング
ちなみに、上記に出た state of mind を表す単語は以下のようなものがあります:
- heated(ヒーテッド):怒っている状態
- shook(シュック):恐れ、怖がっている状態
- rock bottom(ロックボトム):どん底、かなり憂鬱な状態
DJ・ターンテーブル編
DJとは Disc Jockey(ディスク・ジョッキー) の略です。そして turntable(ターンテーブル) は、レコードそのものを乗せる回転盤のことを指します。
ではここで、DJにまつわる英単語を見てみましょう。
- bite(バイト):別のDJのテクニックをあからさまに真似すること
- break(ブレイク):通常は4〜8小節ほどの、ドラムのみが演奏される曲の一部
- scratching(スクラッチング):レコードを物理的に動かす、もっとも基本的な技法
- scribbling(スクリブリング):特定の音を中心にレコードを前後させるシンプルなスクラッチ技法
- spinback(スピンバック):レコードを逆方向に動かして曲を仕上げること
- trainwreck(トレインレック):ビート(拍)を合わせることができず、音がズレてしまうこと
ダンス編
Breaking(ブレイキング)や breakdancing(ブレイクダンシング)は、ヒップホップカルチャー特有のダンスです。今ではさまざまな世界大会も行われるくらい、世界中で人気を誇っています。
では、ダンス編にはどのようなスラングがあるのでしょうか。
- B-boy / B-girl(ビーボーイ・ビーガール):ブレイクダンスをする男性や女性に対する呼称
- boombox (ブームボックス):大型のラジオカセットレコーダー。基本的にはこの機械を使って音楽を大音量で流し、それに合わせて踊ることが多い
- burn / burning(バーン・バーニング):対戦相手を挑発したり、見下した発言をすること
- cypher(サイファー):誰でも自由に参加ができるダンスをする輪のこと
- freeze / freezing(フリーズ・フリージング):ダンス中にすべての動きを止めること
- power move(パワームーブ):速さ、勢い、アクロバティックな要素を用いた力の入ったダンスムーブ
アート編
ヒップホップカルチャーとともに誕生したのが、壁に絵を描く graffiti(グラフィティ) 。
このアートスタイルは writing(ライティング) と呼ばれることもあり、アーティストのことを writer(ライター)と言います。
ヒップホップ特有のアートスタイルではどのような言葉が使われているのでしょうか。
- all city(オールシティ):街中で知られているライターのこと
- black book(ブラックブック):ライターのスケッチブックの呼称
- bombing(ボミング):街中のあらゆるところにグラフティを書きつけること
- kings & queens(キングス・クイーンズ):経験豊富な高名なライター
- tag / scribble(タグ・スクリブル):ライターの署名
- toy(トイ):未経験なライター
ファッション編
バギーパンツや太めのチェーン。ヒップホップのファッションといったらこのようなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
ここで、ヒップホップカルチャーで人気のファッションアイテムを英語名とともにご紹介します!
- bomber jacket(ボンバージャケット):もともとは航空機に搭乗するパイロットやクルーが着ていた「フライトジャケット」のこと。ヒップホップブームによって革製のボンバージャケットが流行した
- bling / bling bling(ブリング・ブリンブリン):金のチェーンやラインストーンが使われた派手なアクセサリー
- do-rag / durag(ドゥーラグ):頭に巻くバンダナやスカーフのような薄手のキャップ
- grills (グリル):歯に装着するアクセサリー。ダイヤモンドや金でできているものが多い。グリルの歴史はこちらの動画をチェック!
- hoodie(フーディー):フード付きのパーカーやスウェットシャツ
- jersey (ジャージー):英語でジャージーといえば、スポーツチームのユニフォームを意味する。ヒップホップファッションでは特にバスケットボールチームの袖なしのシャツが着用されることが多い
- low-crotch pants / drop-crotch pants(ロークロッチ・ドロップクロッチパンツ):股下が膝のところまで下がっているズボン
- snapback(スナップバック):サイズを調整するためのデコボコした部分が後ろについているキャップ
- tracksuit(トラックスーツ):上下お揃いのジャージ
ヒップホップ黄金時代の名曲
「Fight The Power」- Public Enemy
1989年にリリースされた、ヒップホップ好きであれば誰もが知る名曲です。政治に対する批判で溢れた歌詞が多くの人の心に響き、今でも史上最高のラップ曲として賞賛している人もいます。
ちなみにメッセージ性の強いこの曲は、ニューヨークの人種差別を描いたスパイク・リー監督の映画「Do the Right Thing」にも登場しますよ。
「Check The Rhime」 - A Tribe Called Quest
1992年のアルバム「The Low End Theory」に収録されている数々の名曲のなかのひとつ。
こちらの3人組のラップは比較的ペースが遅めではっきり喋るので、わかりやすいですよ!
今とは違う、ヒップホップ黄金時代ならではのかっこよさがあるので、ぜひ聞いてみてください。
「The World Is Yours」- Nas
「Whose world is this? It’s mine, it’s mine, it’s mine」が繰り返されるコーラスで知られる名曲。
当時20歳だったNasが1994年にリリースしたデビューアルバム「Illmatic」の4曲目です。
このアルバムは今でも史上最高のヒップホップアルバムのひとつとして認識されています。
ヒップホップで楽しく英語を学ぼう!
ヒップホップは奥が深い文化です。
ラップだけかと思っていたら、実はアートやダンス、ファッションまで幅広い文化が関わっているということがわかりましたね。
そしてヒップホップ特有の単語やスラングもたくさん紹介しましたが、知っているワードはありましたか?
まずは簡単なラップから新しい単語を聞き取ってみたり、のちにはヒップホップダンスやDJを通して世界中の人と繋がるのもアリですね!