TORJA
(更新)
気候だけでなく、生活パターンが大きく日本と異なる海外生活。
ストレスも溜まりがちで、体調を崩してしまう人も少なくありません。しかし、「病院に行きたいけど、時間がなかなか取れない…」または「英語が分からないから不安…」という場合も多いと思います。
そんなとき、強い味方となるのが市販薬。
とはいえ、実際にドラッグストアに行ってみると、同じようなパッケージの薬がズラーッと陳列されており、「どれを買えばいいのか分からない」という人がほとんどではないでしょうか?
今回はそんな人たちのために、カナダでの迷わない市販薬(OTC薬)選びのコツをご紹介します。
※OTC薬=医師の処方箋なしで買える市販薬(Over-The-Counter Medications)
熱を下げたり、頭痛や歯の辛い痛みを抑えるときに使うお薬で、ちょっとした不調や生理痛などに良く使用されています。留学生は、日本のお薬の「イブ」や「ロキソニン」「バファリン」など、普段使用している市販薬を持参する人も多いようです。
代表的な解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェン(Acetaminophen)、イブプロフェン(Ibuprofen)、それにアセチルサリチル酸(Aspirin)という成分のものがあり、用量や形状は多少違うものの、同じ成分のお薬をカナダの薬局でも購入可能です。
総合感冒薬とは、いわゆる風邪薬のこと。前述の解熱鎮痛薬に加えて、鼻水や咳を抑えるような成分が、一錠の中に一緒に配合されています。
また、解熱鎮痛剤も総合感冒薬も、風邪や痛みの原因を治すものではなく、あくまで一時的に辛い症状を抑える対症療法のお薬ということを理解しておいてください。
販売されている風邪薬には、どれも「Extra Strengthタイプ」がありますが、 Regular タイプとその効能は同じです。違いは有効成分の用量で、多いものが Extra Strength タイプ、つまり Regular タイプより効き目が強いということになります。
その他にも「Night タイプ(眠くなる成分配合)」や「Muscle・Jointvタイプ(筋肉を和らげる成分配合)」「Cold・Flu(咳や鼻水を抑える成分が配合)タイプ」などもあります。様々な種類が販売されているので、自分の症状に合わせて服用しましょう。
Regularタイプは325mg、Extra Strength は500mgのアセトアミノフェンが配合されています。胃をほとんど刺激しないので、空腹時でも服用可能です。
Regular タイプは200mg、Extra Strength は400mgのイブプロフェンが配合されています。抗炎症作用があるので、生理痛やのどの痛みなどにも有効です。
Regular タイプは325mg、Extra Strength は500mgのアセチルサリチル酸が配合されています。胃の中で速やかに吸収され、すばやく解熱鎮痛及び抗炎症作用を発揮します。
手軽に購入出来る市販薬、だからと言って薬は薬です。服用の際には必ず用法を確認し、指示通りに服用するようにしましょう。
特に総合感冒薬は複数の成分が配合されている為、他にも薬を服用する場合には注意が必要です。例えば、夜用とされているものには眠くなりやすい抗ヒスタミン剤が配合されています。鼻水が出るからと他に鼻炎薬(抗ヒスタミン剤)を飲んでしまうと、同じ効能の薬を過剰摂取してしまう恐れがあるので気をつけましょう。
市販薬だからと安易に考えず、分からないことがあれば、医師や薬剤師などの専門家に相談しながら服用することをお薦めします。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、医薬品の有効成分そのものの特許が切れ、他の製薬会社が製造・供給している医薬品のこと。北米では、ジェネリックの普及が進んでおり、ドラッグストア独自のブランドとして販売されている OTC 薬も多いです。
先発品には多額の研究開発費がかかるのに対し、ジェネリックは安全性や有効性がすでに先発品で確認されているため、販売価格が安く抑えられていることが特徴です。また、ジェネリック医薬品は先発品と比べ、薬物血中濃度が統計学的に差がないものとされています。パッケージや形状は違いますが、価格が安く、基本的に同じ効能が期待できます。
日本では多くの市販薬がアルミシートに包装されており、衛生的で持ち運びに便利ですよね。1錠ずつ包装されているので、そのまま財布やカバンのポケットに入れ、携帯している人も多いでしょう。
しかしカナダの OTC 薬は、大量の錠剤がバラバラと容器に入れられて販売されている場合がほとんど。日本では、機能的にも見た目も洗練されている様々なピルケースが販売されていますが、ここはカナダ…。カナダで買える・使えるグッズをご紹介します。
・ コンタクトレンズのケース: 大きさもお薬にピッタリです。2つに分かれているので、2種類携帯でき、価格も安価なので定期的に新しいものに買い替え可能です。
・ MUJIのヘアピンケース: 薄くてカバンの中でも邪魔になりません。ラベルを活用し有効期限を書いておきましょう。
・ MUJIのピル・ピアスケース: 数種類飲み分けている人にはとっても便利なアイテムです。
・ 小さいクリアバッグ: 服用方法や回数などを記入することもできます。衛生的でコンパクト。
慣れない海外生活は、体調を崩しがちになります。万が一、体調を崩してしまった際には、今回ご紹介した市販薬を是非参考にしてみてください。
しかし、これらの薬はあくまでも症状を和らげることを目的とした薬。根本的な治療の為の薬ではありません。
手軽に購入できる市販薬だからこそ、パッケージや価格にとらわれず、詳しい成分や効能にまで意識を向けましょう。似たような症状であっても、実際には異なる治療や服用法が薦められる場合もあります。
市販薬だからといってむやみに服用せず、不安や疑問がある場合は、医師又は薬剤師の指示を仰ぎ、必ず服用規定を守って利用するようにしましょう。
鶴 慶子さん(RN-日本、RPN-オンタリオ州)
日本で9年看護師経験を積んだ後、渡加。ジョージブラウンカレッジナーシングコースを卒業後、オンタリオ州看護師免許を取得。現在はトロント市内の医療機関で看護師として勤務する傍ら、日系コミュニティー向けの医療サポート会社WELLNESS KIZUNAのクリニカルディレクターとして活躍中。
http://wellness-kizuna.ca/